漢方用語集: (8) 腎虚(じんきょ)

腎虚(じんきょ)って、聞いたことある人も多いと思います。

2号のお話でも出てきましたが、漢方では何でも5つに分けて考える五行論と
いうのがあり、5つの臓器を【肝】【心】【脾】【肺】【腎】としています。
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『腎』とは、腎臓のことでなく『肝腎要(かんじんかなめ)』という様に
人間がオギャーと生まれて歳をとり、死に至るまでの間の、生命活動の維持に
必要な生命エネルギーを貯えているところです。

生命エネルギーには、親から受け継いだものと、飲食物から得たものがあり
どちらも『腎』に貯えられ成長と生殖活動の源となっています。
髪・骨・歯、そして全身の成長発育、女性の排卵・月経、
男性の精子をつくる機能、これらすべて『腎』に貯えられている
生命エネルギーによるものといえます。
『腎』と髪・『腎』と骨歯の関連は、五行の色体表を見てください。

 それでは『腎虚とは・・』とあらためて考えてみましょう。
「虚」とは不足という意味で、では何が不足したことなのかというと
『腎』に貯えられていた生命エネルギーの不足と考えています。

 するとどうなるでしょう。髪が薄くなったり、白髪になったり、
骨や歯がもろくなります。そして体全体の新陳代謝が低下し、疲れやすく
足腰も弱ってきます。
そして男女共に生殖能が低下し、性欲の減退もみられます。

 ここまで言うと、「アレ?」とお気付きのことと思います。
そうです。お年寄りのことなのです。年をとると、さらに耳が遠くなったり
耳鳴りがしたり、老眼になったり、目がかすんだりもします。
物忘れもしやすくなってきます。下の方では、夜間にトイレに起きるように
トイレが近くなったり、ゆるんだり、逆にスッキリ出にくくなったりと
いうこともあります。

 年とともに自然に『腎』に貯えられていた生命エネルギーは、
減少して『腎虚』となってきます。80才のお年寄りが、前述のような
訴えをしていても、誰も病気とは思わないでしょう。「歳だから・・」で
片付けられてしまうはずです。しかし、もし同じことを40才の人が訴えたら
「どうしたの?」ということになり、場合によればこれを病気と診断します。

 これが『腎虚』の簡単な表現です。お年寄りの自然な姿を思い出してみれば
それが『腎虚』の症状です。けっして腎臓の病気ではないのです

漢方用語集: (7) 虚実(きょじつ)

漢方では、陰陽とともに用語の中に多く出てきて、また分かりにくい言葉に
虚実(きょじつ)というのがあります。
これを聞いただけで、”漢方はむずかしいから”と思って
後ずさりしてしまいます。

これをできるだけ簡単な言葉に置き換えると、
虚(きょ)とは、【不足】のこと
実(じつ)とは、【充実】のこと となります。

体に必要なものが不足した状態を「虚」、元気がない人は虚弱って
いいますよね。
これまで勉強した気・血・水が不足している状態も、気虚・血虚・陰虚って
言ってました。

「虚」っていうのは、そういう意味では分かりやすいのですが
意味をいろいろもって難しいのが「実」。

体に必要はなく、害を与える発病因子が多くなっているのも「実」。
悪いものが多いということで「邪実(じゃじつ)」とも言われます。
それと意味を違えて、体の抵抗する強さが充実している場合も「実」という
言葉を使うことがあります。

※本で読んでいると、実証タイプと虚証タイプって書かれていることが
 あるかと思いますが、これは中国漢方では使わない言葉で、いわゆる
 日本漢方といわれている立場で使っています。
 このときの、虚と実は体型や見かけや程度の強さ、大きさ、多さなどで
 分けます。
 しかしこの表現で書かれた本は、最近少なくなってきています。

漢方用語集: (6) 津液(しんえき)

津液(しんえき)って、聞いたことのない難しい言葉ですね。
これって簡単に言えば、水のこと。

漢方では体の中の水のことを津液ともいい、汗、鼻水、涙、唾液、尿、胃液、
胆汁、髄液、関節液、リンパ液、細胞間液などすべてを含んでいます。
澄んでさらさらした水を「津(しん)」、濁ってねっとりしている水を
「液(えき)」と呼び区別することもあります。津は全身を潤わせて、
体外には涙、汗、鼻水などとして現れます。液は骨、筋膜、頭蓋の中にあって
関節を滑らかにし脳髄を栄養しているとしています。
水は小児では体重の約70%、成人でも約60%を占めており、
気・血とともに人体にとってとても大切なものです。

この津液には潤いと栄養の働きがあります。
しっとりしたお肌もこの津液によりもたらされます。
また涙、鼻水、唾液などが目、鼻、口などを潤わせているので、この津液が
枯れると目、鼻、口が乾き、腸管の潤いがなくなれば、便が乾燥して
便秘になります。
関節の動きが悪くなり痛みが出るのも、この津液の不足が原因ということが
あります。

樹木の潤いがなくなっていくように、人も年をとっていくにしたがって、
この津液は次第に減少し、枯れていくのは自然の摂理ともいえますが、
いつまでもみずみずしくありたいと願うのもまた皆同じだと思います。

ここで、チョッと難しい漢方用語の復習をしましょう
●この水が消耗したのを【津虚(しんきょ)または陰虚(いんきょ)】
 原因: 飲食の不摂生、栄養不良、日射にさらされる、胃腸虚弱、
     発汗過多排尿過多、慢性下痢、発熱、過労、慢性病など
 
症状: 口渇、手足のほてり、皮膚の乾燥、目の乾き、寝汗、
     舌は紅、苔は少なく乾燥
 
津液を補う食べ物: ヤマイモ、キクラゲ、百合、梅、すっぽん、もも、
           なし、びわ、牛乳

●この水が流れなくなると【水湿(すいしつ)または痰飲(たんいん)】
 原因: 飲食の不摂生、湿気の強い環境、排尿困難、
臓腑機能低下による津液の代謝不良、過労、慢性病など

 症状: めまい、頭重感、喘咳、動悸、嘔吐、下痢、浮腫、関節の腫れ、
     舌苔は白く厚い

 水をめぐらせる食べ物:キュウリ、あずき、ハトムギ、トウモロコシ、
トウガン、インゲン、アサリ、シジミ、ハモ、フナ、スイカなど

漢方用語集: (5) 血(けつ)

女性の更年期の病気を「血(ち)の道」というように、血(けつ)は血液
そのものを指し、体にとって大切なものです。

血は体の中を川のように流れています。
酸素や栄養物はこの川のお陰で、隅々の細胞に届けられて
健康とみずみずしい肌が維持されています。
では、長い間雨が降らなくて水量不足を起こしたらどうでしょう。
細かい枝分れした川は干上がり、進めなくなります。
これを血の不足、血虚(けっきょ)といいます。そして、大雨で堤防が
決増したのが出血、土砂が流れ込み流れが悪くなった血の滞りを
お血(おけつ)といいます。どの状態になっても、酸素や栄養物は
運ばれなくなってしまいます。そうすると、手足は冷え、肩が凝り
目にクマができて、肌はカサつき、シミが目立ち・・・
健康や美しさとはほど遠くなってきます。

川の水量不足は補い、堤防の決壊は修復・強化し、川底の土砂は掘り出し
流れを回復してあげなければなりません。
この働きを補血・止血・活血といいます。

このすべてに役立つのが、薬草の当帰(とうき)です。
当帰を飲んで見違えるように健康で美しくなって、逃げた亭主が
『当(まさ)に帰ってきた』ということから名づけられといいます。
今の若いお母さんは知らないかもしれませんが、婦人の万能漢方として
コマーシャルされていた「中将湯(ちゅうじょうとう)」の主成分が
この当帰なんです。

ここで、チョッと難しい漢方用語の復習をしましょう
●この血が消耗したのを【血虚(けっきょ)】
 原因: 飲食の摂取不足、胃腸虚弱による消化吸収の低下、過労や慢性病
     思い考えすぎ、手術など大出血など
 症状: 目まい、目のかすみ、動悸、手足のしびれ、顔色が蒼白あるいは艶ない
     女性では生理の量が少ない、生理が遅れる、
 血を補う食べ物: レバー、クコの実、ニンジン、ホウレンソウ、かぼちゃ
     きくらげ、金針菜、あわび、まぐろ、なつめ、ぶどう、黒砂糖など

●この血が流れなくなると【お血(おけつ)】
 原因: ストレス、冷え、過労や慢性病、外傷打撲など
 症状: 目のくま、皮膚のあざ、肩こり、痔、胸や関節の刺すような痛み、
     痛みの部位は固定して夜間に悪化する、静脈瘤、
     女性では生理痛、生理に塊が混じる、子宮筋腫、
 血をめぐらせる食べ物:玉ねぎ、にら、ホウレンソウ、アスパラガス、
セロリ、チンゲン菜、かぶ、ねぎ、にんにく、
らっきょう、イワシ、アジ、サンマ、トマト、
            メロン、イチゴ、桃、納豆など

漢方用語集: (4) 気(き)

日頃使う言葉の中で
元気・気力などと聞くと、気(き)とは何となくパワーをもつエネルギー
というのが分かるかと思います。
 エネルギー物質なので、【消耗したり補充したりできます】

そして空気・気分・気持ち、気に入る・気がはれない・気が沈むなどというと
この気(き)は目に見えない何かがあるのだなと感じると思います。
 見えなくても、【動くことができるものです】

見えない、実体のない気(き)の働きを、漢方では
 (1)体を温める
 (2)敵と闘う
 (3)体を栄養する
 (4)各組織を動かす などの働きがあります。

そうです。元気(元の気)が無くなると、
体が冷え・風邪をひき・痩せ・機能障害を引き起こしてしまうのです。

”病は気から”・・・なるほど、うまくいってますね。

ここで、チョッと難しい漢方用語の勉強をすると
●この気が消耗したのを【気虚(ききょ)】
 原因: 先天的な体質虚弱、飲食不摂生による栄養バランスの乱れ
     過労、大病、老化など
 症状: 疲れやすい、倦怠感、息切れ、めまい、風邪を引きやすい
     運動や過労で悪化しやすい、
 気を補う食べ物: 米、やまいも、ニンジン、かぼちゃ、にら、なつめ、栗、
          くるみ、牛肉、うなぎなど

●この気が流れなくなると【気滞(きたい)】
 原因: ストレス、冷え、飲食不摂生など
 症状: 胸や腹部の張り、部位があちこち動く、いらいら、ストレスで悪化する
 気をめぐらせる食べ物: しそ、うこん、ウイキョウ、ジャスミン、はっかなど

漢方用語集: (3) 気血水(きけつすい)

血(ち)水(みず)とは読まず、血(けつ)水(すい)と言ってくださいね。
こう読んでいるだけで、漢方通!?って思われますよ。

さて、漢方では、この気血水(きけつすい)の3つで体が構成、
維持されていると考えます。なんと簡単なことでしょう。

気(き)とは、元気の気でエネルギーのこと
血(けつ)とは、そのまま血液のこと
水(すい)とは、血液以外の体液のこと。
津液(しんえき)陰液(いんえき)ともいいます。

◎この気血水3つの量が充分にあり、スムーズに流れている状態が健康で、
 量が不足したり、流れが滞ったりした状態を病気と考えます。

 気の不足を【気虚・ききょ】
 血の不足を【血虚・けっきょ】
 水の不足を【津虚・しんきょ 又は 陰虚・いんきょ】

 気の滞りを【気滞・きたい】
 血の滞りを【お血・おけつ】
 水の滞りを【水滞・すいたい 又は 痰飲・たんいん】

これを治療するために
補気(ほき)補血(ほけつ)補陰(ほいん)
理気(りき)活血(かっけつ)化痰(かたん)という方法を使います。

気血水の働きや上記6つそれぞれの詳しい説明は後ほどゆっくりしますので、
今回は《量と流れが大切》ということを覚えておきましょう。

漢方用語集: (2) 五行(ごぎょう)

前回の陰陽(いんよう)と並んで、漢方の考え方の基礎となっているのが
五行(ごぎょう)論。

漢方薬局の店頭で
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世の中の何でも木(もく)・火(か)・土(ど)・金(こん)・水(すい)
の五つに分類し、考えていこうという
チョッと強引な?理論で、陰陽論と共に陰陽五行論として有名です。

【木】は燃えて【火】となり、燃えた灰は【土】に返り、土は鉱物、
すなわち【金】属を生み出し、金属の表面には【水】滴を生じ、
その水が【木】を育てます。

【金】から【水】??って、おかしくないか(?д?)と思われるでしょう。
ちなみに、もともと燃えさかる地球には一滴の水もなかったそうで、
それが宇宙より降りかかる隕石(金属)の中にほんの僅かに存在していた
水が水源になったと近年になってわかってきたんですって。

チョッと強引かな?とも書きましたが、物事・体のことを考える上では、
自然と納得する部分も多いのも事実です。?(–#)

漢方用語集: (1) 陰陽(いんよう)

安倍晴明の陰陽師(おんみょうじ)?が公開されたところですが、
ここでは間違えずに陰陽(いんよう)と読んでくださいね。
漢方では自然界すべてのものを陰・陽のふたつに分けて考えています。
これをむずかしく言うと、陰陽二元論(にげんろん)といいます。

陰は日陰を意味し、陽とは太陽の日向を意味すると思ってください。
太陽に対して月、昼に対して夜、男に対して女という風に・・

陰・・・ 月 、夜、女性、寒冷、静止、内向、下降、裏、緩和、
陽・・・太陽、昼、男性、温熱、運動、外向、上昇、表、激烈、 など

でも男っぽい女性もいるし、女っぽい男性もいますよね。太陽も真上から
沈んで夕方になり、それに併せて月が昇ってきて次第に夜となります。

陽でも陰に傾いている場合、陰でも陽に傾いている場合があり、
必ず陽だけ陰だけでは存在しないのです。
https://www.futabakanpo.co.jp/posts/がそれを意味したものなんです。

簡単に言えば、大自然のすべてはこの陰陽の関係でバランスが取れている
ということです。?(・◇・)/
このバランスが体の中で崩れたのが病気、大自然では、今年のような
冷夏による農作物の被害が起こります。