49.鼈(スッポン)

「月とスッポン」という言葉があります。月もスッポンも丸いが、同じ丸でも随分と異なり、比較にならぬほど相違することを意味する言葉です。
 3月に入ったとはいえまだまだ寒い日があります。スッポンは冬眠をしますが、泥の中にスッポンがいると、冬にその部分だけが凍らないといわれるほど精の強い動物だといわれています。
 その肉は、体を温める作用を持ち、滋養強壮、強精剤に用いられますが、衰弱性の微熱、神経性の下痢、脚気によるむくみ、痔、白帯下(こしけ)の改善にもよく効きます。
 スッポンは甲羅、爪、膀胱、胆嚢を除いてはすべて食用に使われ、各部分で効用も異なります。精力がつくといわれるスッポンですが、漢方書には気力を増やす(益気)、血液中の余分な熱を取り去る(去血熱)、風邪などの急性疾患(傷寒中風)、肝臓、腎臓などの機能不全(補陰)、月経不順、不妊症などの婦人病(血か)、心身の衰弱(虚労)など、実に多くの効力が書き記されています。