46.玄米(ゲンマイ) 生薬名:粳米(うるちまい)

お米がおいしい季節です。さて、夏の暑い日、白米を水につけっぱなしにしておくと腐りますが、玄米は数日間水につけておくと、芽が出ます。つまり、精米したお米にはすでに生命力がないのに、一方の玄米には発芽するために必要な栄養分がまだ残っているということになるのです。
 収穫された稲は、もみ殻と呼ばれる外皮におおわれています。稲からもみ殻を取っただけのものが玄米で、玄米からさらにぬか層と胚芽を取り、胚乳だけを残したものが精白米です。胚芽のない白米の栄養分は糖質だけです。しかし胚芽のついている玄米には、小さいながらもビタミンEや食物繊維が凝縮されています。玄米は白米に比べてかたくて消化が悪いといわれていますが、それは白米の3倍もの食物繊維のためです。玄米は水溶性と不溶性の両方の食物繊維を含んでいますが、それらは便秘を予防してくれる他、有害物質を排出したり、腸内でのビタミンB群の合成を促進する働きを果たします。また、血中コレステロールを減少させるリノール酸が豊富なため、動脈硬化などの成人病にもかかりにくくなるなどたくさんのメリットがあります。
 なんだかやる気が起きない、力も湧いてこない、と感じている方にはぜひ、白米より玄米をおすすめします。というのは、糖質はパワーのもとですが、糖質をエネルギーに変えるにはビタミンB1が必要ですので、糖質だけの白米に比べて、ビタミンB1を含んでいる玄米は、それだけで効率よく元気な体をつくってくれるからです。玄米食をしている人は、健康でほどよい体型の人が多いというのもうなずける話です。
 また、玄米はれっきとした漢方生薬で、「粳米(こうべい)」といい、古い書物には「体液の喪失を防ぎ、口渇を止める。恒に食して元気を持続する。」と書かれています。
私たちが日ごろ使う空咳のときに使う漢方薬の麦門冬湯(ばくもんどうとう)や糖尿病に使う白虎加人参湯(びゃっこかにんじんとう)にも、この粳米すなわち玄米が入っています。薬食同源そのものです。