30.イチジク(無花果)
イチジクは古代からおなじみで、聖書には「アダムとイブがイチジクの葉を綴りて裳をつくれり」とあります。むかしは花が咲かないで実がなると思われていたため「無花果」と呼ばれてきました。無花果⇒種がない⇒子孫がなくなる⇒という連想から、イチジクを庭に植えると子供ができないといって嫌う地方もあります。
イチジクの実は秋の味覚の一つですが、漢方薬として古書では「胃腸の働きをよくし、下痢を止め、痔やノドの痛みをなおす」とその効用が記されています。イチジクの実には、酵素類が含まれ消化作用に優れ、腸の中の虫(回虫など)を追い出すといいます。また古来安産のための必需品として、お産の際なりやすい痔の特効薬とされています。葉を生のまま食べるか、サッと湯通してサラダにすると妊婦の羊水を豊富にし、スムーズな出産を促すともいわれています。さらに痔の外用薬として、葉の煎液をいれたお風呂に腰湯をします。もちろん実を食べるのも悪くありません。
また、茎や葉からでる白い乳汁には病的組織を腐触する作用があり、イボとりや痔の患部の腫痛にすり込むとよいとされています。ただし、かぶれる人もありますので要注意ください。