44.秋刀魚(サンマ)

さんまといえば、有名な落語「目黒のさんま」にも登場する、代表的な庶民の魚。安くて栄養満点の魚です。意外なことに、さんまに含まれるタンパク質は、量も質も牛肉やチーズなどよりずっと優秀なのです。
最近になってさんまが再び見直されてきた理由は、青い魚に含まれているエイコサペンタエン酸(EPA)のためです。
EPAは体内では合成できない脂肪酸で、血液の粘りを取る働きが特に注目されています。血管の中をきれいにしてくれるので、動脈硬化などの成人病対策に効果をあらわすのです。栄養価が高い上に、血管の病気を予防する効果があるとわかりました。
一時魚の焼きコゲに発ガン物質があると騒がれたことがありましたが、実際は、毎日山盛のコゲだけを食べるのでもなければ心配ありません。ところで、さんまの塩焼きに大根おろしを添えるのは、大変理にかなった食べ合わせです。大根の生汁の酵素には、発ガン物質を中和する働きがあるからです。それに大根に含まれる消化酵素には、脂の多いさんまの消化を助ける作用もあります。
ただし、網焼きには欠点があって、脂と一緒にEPAが落ちてしまうのです。EPAを有効にとりたいときは、刺身や煮汁も残さない工夫をしましょう。