37.ワラビ(蕨)
「早蕨(さわらび)がにぎりこぶしを ふりあげて山の横つら 春風ぞ吹く」
と歌われたワラビは、早春の土の甘い香りを口に運んでくれる食物の一つです。
昔は山から採ってきたワラビを木灰を入れた熱湯中に短時間浸してアクを抜き、水洗いして軒下に吊るし、さらに陰干しにして貯蔵食としてきました。最近は木灰にかえて、重曹を熱湯に溶かしてアク抜きをするようになりました。
ワラビの中には石灰質が多いので、これを食べると自然に歯や骨が丈夫になるのです。粘り気はもち米より多く含まれています。とにかく山村ではカルシウム源に乏しいですから、ワラビは身体によい山菜と言えましょう。ただし、量が多すぎるとビタミンB1を壊す酵素が含まれているので、脚気などの栄養障害を起こします。またワラビには、微量ながら発ガン物質を含んでいると言われていますから注意が必要です。しかしアク抜きで、分解酵素も発ガン物質も大半が除かれるので、充分なアク抜きを・・・
また地下茎にはデンプンを含んでいて、ワラビ餅の材料のワラビ粉が採れます。ワラビ粉は滋養強壮として用いられ、解熱剤としての効果もあります。
インドでは根を下痢止めに、欧州では民間薬の虫下しとして利用しているといいます。