6.ギンナン(銀杏)

ギンナンはご存知のようにイチョウの果実ですが、植物学上分類では、中国と日本にしか存在しない珍品で、ダーウィンは《進化論》の中で、イチョウのことを、『生きている化石』と呼んでいます。まさに地上に姿を現した古生代から現代まで、その姿を変えていない生命力の強い植物です。
中国漢方の中では、ギンナンは精の漏れすぎを止め(強精』)、頻尿遺尿を止め婦人の帯下を治す薬として分類されています。また、もうひとつの重要な薬効として、咳止め、喘息の発作止め、結核などの呼吸器に対する作用も強調しています。
中国の風習で結婚式の日には、新郎新婦にギンナンを食べさせますが、これは単なる儀礼の意味だけでなく、実際の効用も意図されています。新婦は長い儀式の最中も尿意をもよおすことなく無事安泰。しかも新郎には強精。また、夜尿症の子供には、就寝4時間ほど前に、焼きギンナンを年齢の数だけ食べさせる必ず快方に向かいます。
余談ですが、高齢者の尿漏れには、西洋カボチャの種を使うことも覚えておかれるといいでしょう。
ギンナンは多食すると中毒を起こしやすく、生では絶対食べないようにしてください。必ず火を通すか油漬けにしたものを1回に10個までにして、小便の出の悪い人は食べてはいけません。

イチョウのもうひとつの大切な薬効部位であるイチョウ葉についてはまたの機会にしましょう。