47.牡蠣(カキ)
カキは、イボタガキ科の二枚貝で、ローマ人は2000年前から養殖を始めたといわれています。わが国でも5世紀の頃、天皇にカキを詠んだ歌が献じられたと「古事記」に書かれています。世界各地の貝塚からカキの殻が出土されることからも人類最古の食物のひとつであった事がわかります。
カキは”海のミルク”といわれるように、実に栄養に富み、10%近く含まれるタンパク質は、全ての必須アミノ酸を含む20種以上のアミノ酸から構成される良質のものです。またビタミン類はAから始まってB1、B2、B6、B12、C、D、イノシトール、葉酸などが含まれ、ミネラル類としてカルシウム、カリウム、リン、鉄、ヨード、マンガン、亜鉛、コバルト、マグネシウム等が入っています。さらに活力源であるグリコーゲン、細胞を強化し肝臓を改善するタウリンも含まれ、しかも消化吸収が抜群です。
漢方ではその肉を、滋養強壮剤として薬用に利用し、また貧血の改善などにも用います。肉に含まれている良質のタンパク質とともに造血に欠せないビタミンB12、葉酸、鉄、亜鉛の存在が治療を助けるのです。また二日酔を改善し、肝臓を強化し、眼精疲労を治す作用もあります。
さらに血中のコレステロールを除いて、血行をよくしますので、顔色をつややかにし、肌をきめ細かくする内面美容の効果をもたらします。
殻は牡蛎(ぼれい)とよび、漢方処方によく配合されます、制酸剤であり、のぼせをとり、神経衰弱を治す鎮静剤の働きを発揮します。ちなみにナポレオンや武田信玄もカキの愛好者であったといわれています。